登場人物一覧
◆ カラハ(主人公)
風渡りの者。風に語を乗せて響きを伝える旅の語り手。掟に背き「語る風」となった者。語を運ぶだけでなく、響き合い・託す役割へと成長する。風を通じて語の種を芽吹かせ、語の輪の循環を体現する存在。
◆ ナユ(風見の祠の少女)
風渡りの者。風の正統の読み手であり、風見の儀を知る者。カラハに「語は響き合ってこそ意味を持つ」と示唆を与える。カラハの初期の覚醒のきっかけとなる。
◆ ユルナ(潮流の民の少女)
潮流の民。母の記憶を語れず沈黙していた少女。カラハとの出会いをきっかけに、自ら語を刻み始める。語ることの再生と、記憶の語の起点。
◆ シノハ(風標の地に住む若者)
風渡りの者(離脱者)。語りすぎた末に語を閉じ、語を“風に返す”役割を担う。カラハに「語の終わらせ方」を示す。語の循環の負の側面と、その浄化のあり方を教える。
◆ ミヨリ(沈黙の語り手)
系譜不明。他者の語を受け取りすぎて、自分の語を失った女性。語を焼くことで自らを再生した。“語を背負う重さ”と“手放す知恵”を象徴する存在。
◆ オロチ(星降る記録者の派閥に近い記憶封印者)
風渡りの者(封印役)。語を封じ、村の記憶を“癒し”の名のもとに消した者。カラハによって語の真実性を問われ、改心する。語の「偽り」と「封印」の問題を浮き彫りにする。
◆ セイラ(名を継ぐ者)
風渡りの者(傍系)。母を通じて“語られなかった記憶”と向き合い、祠に新たな名を刻む。語の再誕を体現。名を持たぬ語に名を与えることで、語の再生を象徴。
◆ リノン(風紡ぎの末裔)
風渡りの者(未来語の予兆読み手)。風見の塔の管理者。語の選択と“未来語”の芽吹きに関わる。カラハに「語を託す者としての選択」を促す。
◆ ユイ(語を継ぐ少女)
無系譜(新たな語の芽)。風を通じて語を受け取り、語札に自らの響きを刻む。カラハが託した語を芽吹かせる“継ぎ手”。語が次へ継がれること、語の循環の未来を体現。
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📘用語集
◉ 風渡りの者(ふうわたりのもの)
語を風に乗せて運ぶ旅の語り手たち。語を“語る”ことを禁じられていたが、カラハはそれを越えた。
◉ 語の輪(かたりのわ)
語が語られ、受け取られ、また語られるという循環の構造。風の中で響きが重なり合い、語の生命が保たれる。
◉ 結び羽(むすびば)
風見の塔で選ばれた語り手に授けられる、語を託す者の証。語を終わらせず、次に手渡す“結びの役割”を象徴。
◉ 語標(ごひょう)
風の流れによって浮かび上がる“予兆の語”を映す装置。語を「選ぶ」ことの重要性と、未来の響きを示す。
◉ 風笛(かざぶえ)
カラハが用いる、風に語を乗せるための道具。音に意味を持たせず、響きとして語る。
◉ 語札(ふだ)
語を記す札。必ずしも言葉ではなく、揺れや気配も含まれる。
◉ 風見の塔(かざみのとう)
未来の語の兆しを読むための高台。語標が置かれている。
◉ 風標の地(ふうひょうのち)
風に語を還すための祈念装置と、それを守る者がいる場所。
◉ 語り草(かたりぐさ)
語を持たなかった者の記憶が風に宿り、花のように咲いた植物。語られぬ語が“揺れ”として語る現象。