アカネがツギノ村を出て三日後の夕刻、濃い […]
風標を手に、アカネは西の丘を下った。その
翌朝、アカネは祠の前に静かに立っていた。
それは春と夏の境、湿った空気が山を包み始
それから幾夜が過ぎた。アカネは毎日、祠の
石室の空気は澱んでいた。だがアカネには、
春の訪れとともに、山は新緑の気配を帯びて
アカネが生まれたとき、村の巫母(ふぼ)は
まだ語が世界に満ちる以前、人々は火を恐れ
《語りの序 – 世界は語から