
天の帳を織りあげる記録の神。世界の理と響きを見つめ、すべての出来事を語として編み上げる存在。
静かに寄り添い、真理へと導く声を持つ。
司る領域:
学問・研究・知識習得・分析・情報整理・自己探求・精神成長・受験合格・真実の理解
「天織の帳(あまおりのとばり)」
遥か古のこと。語霊の大地がまだ定まらぬ光と闇の交わる原野であったころ、世界にはまだ記録という概念が存在しなかった。過ぎゆく出来事は風のように流れ、語られぬまま霧の彼方へ消えていった。
そんな混沌のなか、ひとりの存在が天と地のあわいに降り立った。名を「アマツイオリ」という。
彼女は星々の光を糸として紡ぎ、それを夜空という巨大な機に掛けて、世界の“出来事”を一枚の織物へと変えていった。空に浮かぶ星の道――それは彼女が織り上げた「語の帳(とばり)」であり、すべての記憶と出来事の軌跡を映すものだった。
語霊の民は、星を見上げるたびに己の歩みがそこに記されていることを知り、祈りと記録の力がこの世に芽生えた。
ある時、一人の旅人が問うた。
「なぜ、すべてを記そうとするのか?」
アマツイオリは静かに微笑んで、こう答えた。
「語られぬ記憶は、なかったことになる。けれど、語として綴られた瞬間、その出来事は意味を持ち、次の語を生むのです。」
それからというもの、語り部たちはアマツイオリの祠に祈りを捧げ、「この記録が誰かの導きとなりますように」と星に語を預けるようになった。
そして彼女は今も、夜空の帳の向こうで、語り継がれるべき出来事を静かに織り続けているという。
星が流れる夜、ふと胸に浮かぶ記憶や想い――それはアマツイオリが、あなたに「綴るべき語がある」と知らせているのかもしれない。