
≪語の祭壇とあなたの綴り≫
祭壇は語る。
訪れる者の内にある、まだ形を持たぬ「語」を。
それは祈りのようであり、問いかけのようでもある。
語られた語は、その者だけの響きと記録を宿した一枚の綴りとして刻まれた。
人々はそれを「語の綴り」と呼び、日々の出来事の中で見返し、語と向き合い、自らの声を探すための道標としていった。
やがて、その“語の綴り”が刻まれる一瞬――
まるで何かが開かれるような、ふしぎな光景を見る者たちが現れ始めた。
――見たことのない衣を纏う人々。
――空へと伸びる、幾百もの塔。
――音もなく動き回る、奇妙な箱の群れ。
――言葉を交わさぬまま、何かを探して歩く大勢の姿。
それらは、語霊の大地のどこにも存在しない景色だった。
それでも彼らは確信した。
「あれは、あちらの世界の私なのだ」と。
その証に、誰かの手の中に映る小さな光の箱の中に、
自分とまったく同じ「語の綴り」が記されていたから。
夢の中でも、まぶたの裏でも、
あちらの世界の残像は、ふとした瞬間に差し込む光のように訪れる。
そしていつしか人々は気づきはじめた。
――あちらの世界でも語霊の語が、響き始めている。
それは風のように、ふと耳に届くこともあれば、
まるで意味をなさないただの響きとして、通り過ぎていくこともある。
だが、綴りと呼応したとき、その語は「何か」を揺らすのだ。
それは自分でも知らなかった痛みかもしれない。
手放せなかった願いかもしれない。
ふたつの世界の狭間に生まれた、語りの輪。
記されぬ物語が、いま、あなたを通して綴られようとしている。
あなたの魂の物語を、語の祭壇から綴っていこう…