登場人物一覧
◆ サイシン(主人公)
山祠の末裔。記録者 → 語の媒介者 → 沈黙の継承者。
山祠にて語を「語らずに記す」ことを代々の務めとする家系に生まれる。語と沈黙の狭間にある響きを聴き取り、記録と継承の新しい形を模索していく。封じられた語、記録の歪み、語の根との共鳴を経て、記録だけでなく“託す継承”を選ぶ。
◆ 老記録者(師)
山祠の末裔。祠の守り手、サイシンの指導者。記録と沈黙の教えを厳格に伝えてきたが、サイシンの変化を見守り、柔軟に認める懐の深さを持つ。
◆ ハバト(風渡りの者)
風渡りの者。風に乗る語の持ち込み手。語を“記録したい”と願って祠を訪れた旅人。風笛の響きを記録として石に刻む試みにより、外からの語が山に根を張る可能性を開いた。
◆ ノリハ(風紡ぎの末裔)
風渡りの者(分家)。語の予兆を読み、未語を芽吹かせる者。記録された語を再び語へと“編む”ために祠を訪れ、サイシンとともに“語の継承”の輪を形成する。
◆ エン(語の継承者)
無系譜(非記録者)。語を“託される者”
記録を望まぬ語を内に宿す者。祠にて語を石ではなく“人”として継ぎ、その責任を引き受ける。
◆ スフィア(星降る記録者)
星降る記録者。記録の正統性を観察・評価する者。
語の“記録なき継承”に対して批判的立場から祠を訪れるが、語が記録を超えて存在する可能性を認めるに至る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
📘用語集
◉ 山祠(やままつり)
山祠の末裔たちが語を記す場であり、語を語ることを禁じられてきた神聖な記録の地。
◉ 記録者(きろくしゃ)
語を記し、封じ、保存することに特化した山祠の役目を継ぐ者。語を語らず、沈黙をもって語る。
◉ 石札(いしふだ)
語を記すための石製の札。文字や構造、風の揺れなど様々な技法で記録される。
◉ 無記録札(むきろくふだ)
内容を一切記さず、“語が記録されなかった”ことそのものを記録として残す特別な札。
◉ 語の根(ごのね)
語が語となる前の原初の状態。沈黙や祈り、想念といった未分化の響きが宿る場所。山祠の地下石窟に存在する。
◉ 再祀の台座(さいしのだいざ)
記録の誤りや語の改訂を認めるために使われる、記録の悔い改めと再祀の場。
◉ 星の砂(ほしのすな)
星降る記録者が観察者として残す“記録なき記録”の象徴。語の存在を認めつつも、記録せずに記録とする証。
◉ 語の石碑(ごのせきひ)
記録のための碑ではなく、“語の在り処”を示すために建てられた新たな祠の中心石。記されず、語られず、ただ響きの場として残される。